toranekodoranekoのブログ

虎猫・銅鑼猫など様々なブロガーが参加しているサイトです。クリスチャン、社会保険労務士、多言語活動家、女性キャリア官僚、科学ライター、うるさいばあさんまで、多士済々。お楽しみください。

クリスチャンブロガーが綴るブログです。
明るい高齢化社会、病から得た様々な宝、世の中の動きへの警鐘(銅鑼)を鳴らすこともあります。
ときどき大阪弁も出てくる聖書物語もお楽しみに。
主催者のほか様々な協力者も登場します。

2022年新年のご挨拶(デジタル化が役に立つこれだけの理由)

明けましておめでとうございます。
デジタル化に絡めていくつか雑駁な感想を取りまとめました。
ご笑覧ください。


1.新型コロナ禍はまだまだ長期戦になりそうですが、知恵を出す方法はあるはずです。
この国の強さと弱さが共に明るみにされた年でした。
私たち国民が自制心を持ち、冷静に振る舞って被害を最小限にとどめています。
医療従事者の献身は驚異的なものです。
それを助け支えるための最善の努力はされてきたのでしょうか。
私の住む杉並区で自宅療養中に亡くなった方がいらっしゃいます。保健所が電話連絡がつかないということでフォローを取り止めていたそうです。
「なぜ電話連絡だけで対応されるのか、メールやズームも使えるのではないか、SECOMなどの見守りサービスを使うことができないのか。」そのように杉並区に申し入れてみました。
ひと月ほども経ってから、「メールを使い始めている」旨の返信をいただきました。
何のためのデジタル化なのでしょうか。
さらに言えば、保健所が困っているときに、「それなら自分に任せてください、何とかしましょう」そのような気概を持った人や組織がなぜ現れないのでしょうか。



2.企業の不祥事が相次ぎました。簡単な解決方法があります。
三菱電機、みずほフィナンシャルグループ、など常連の企業のほか、トヨタ自動車でもパワハラ自殺等の不祥事が報じられています。
共通の特徴は、現場の問題が経営者まで報告されない、そのような情報の目詰まりです。
適時的確に現場の実情を把握できなければ、適切な経営判断はできません。
中間管理職の段階で情報が止められてしまっているのです。


そんなときこそ、デジタルの出番です。
現場の情報が経営陣に伝わるように仕組むことは、そんなに難しいことでしょうか。
一番簡単な方法は、全役職員向けに定期的にコンプライアンスアンケートを実施することです。「その他コンプライアンスについてお気づきのことがあればなんでもご記入ください。」という自由記入欄を一つ設けておけばよいのです。
私が前職の三井住友信託銀行でコンプライアンスを担当していたときは、全役職員向けに実施するコンプライアンス研修のアンケート項目の中で上記一言を入れておきました。
手元に集まってくる情報をひとりで2日間ほど分析しただけで、非常に役に立つ情報が得られました。
1万4000人の役職員の中で、自由記入欄に記載する人は1,000人程度。殆んどの情報は想定の範囲内。キーワードなどで分析し、本当に重要と思われる情報10件、20件程度に絞り込めました。情報をキャッチする投網を広く大海原に投げて、その中から貴重な情報を拾い出せばよいのです。


大規模な対面研修にこだわらず、e-learning を活用するのがお勧めです。繰り返し繰り返し漢方薬のようにじわじわと社内の気風を変えていくことができます。
毎月のように、手を変え品を変えてコンプライアンス関連のe-learning 研修が全役職員向けに実施され、社内ではコンプライアンスが日常の風景になっていったのです。
初めてそのテーマに取り組む人でも、15分もあれば研修から確認テストまで完了できる程度の内容です。慣れた人ならそれこそ、2,3分から5分程度で対応されていました。


不祥事を起こした企業がしばしば間違うのは、大規模で手間のかかる研修に取り組んでしまうことです。それも、管理職向けとか若手社員向けとか階層ごとに違う内容にすることが見受けられます。
一度の研修で顕著な効果が出るはずはありません。対外的にやっているふりをしているだけ、とさえいえます。
短時間で対応できる研修を愚直に継続することです。忘れそうなときに次の研修でたたみかけるのです。社長から新入社員まで全く同じ内容の研修で、共通の体験を積み上げていくのです。


これに関連して補足します。
内部通報制度は、基本的に役に立ちません。我が身に降りかかる火の粉を覚悟して勇気ある人が通報してくる時には、もはや手遅れです。
「監督機関は何をしていた」「社外取締役は何をしていた」というのもピントはずれです。
社内の経営者も把握できなかった現場の実情を、社外の人が把握できるはずがありません。監督機関の役割はそのような情報の目詰まりが生じていないかモニターすることに留まります。社外取締役の役割は、集まってきた情報に基づく社内の取締役の経営判断の適否を評価する程度にとどまるでしょう。
私はむしろ、大企業ならば「労働組合こそ何をしていたのか」と問いたい。
社外取締役制度よりも、ドイツのように労働組合の代表が経営陣に加わるほうが、よほど効果があるでしょう。


3.デジタル化についてもう一言触れます。
デジタル化は情報の発信者と利用者を直接に結びつける機能があります。
情報の伝達の遅延を防ぐ、ということです。情報の経路の途中に、人が介在して情報がねじ曲げられたりせき止められたりすることも防ぐことができます。
新型コロナの自宅療養者の情報でも、社内不祥事の情報でも、本当に必要な情報を必要な人にタイムリーに届けることができます。
デジタル化とはスマホ化とかマイナカードの問題ではないのです。


私は昨年、中小企業等のための国の補助金申請のお手伝いをしてきました。
コロナ禍に苦しむ中小企業が、思い切った事業転換を図る「事業再構築補助金」などです。
その申請の方法が徹底的にデジタル化されていて、ちょっと感激しました。
経済産業省・中小企業庁でこんなことができるのに、厚生労働省は一体何をしていたのだろう。そんなことも考えた1年でした。


4.人の命と健康こそが至高の価値
人の命と健康こそが至高の価値です。それを守るためならば、できることは何でもやってしまえばよいのです。
コンプライアンスとは既成のルールを守る事ではありません。
社会の信頼、社会の要請に応えることです。
コロナ禍対策であれ、過労死過労自殺防止であれ、品質偽装の防止であれ、その目的は、人の命と健康を守り、安全を確保することです。
それこそが私たちが守るべき最大のルールです。
デジタルはそのための強力な武器になります。


銅鑼猫

×

非ログインユーザーとして返信する