toranekodoranekoのブログ

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社内研修は外部に頼るな!会社の風土は自ら築くべし!!

(善福寺公園)


私は、前職の三井住友信託銀行時代に各種の社員向け研修も長く担当してきました。
様々な教材の売り込みを受ける立場でもありました。
率直に言って、研修会社とかコンサルティング会社が用意するものは、広範な対象者に沢山売り込む必要があるためでしょうか、一つ一つの会社にとっては「帯に短し、たすきに長し」でした。
現場感覚から離れた明らかに間違った内容のものも見かけました。
(某大手の新聞社の数万円の教材でも明らかに不適切な内容もありました。)


社内研修については、ご自分の会社に即したものをご自分で作るのが一番だと思います。


とりわけ自分の会社の風土を変える、考え方・行動の革新を試みる、そのような研修については、自社で作るしかないと思います。
ご自分の会社の業務内容、気風、社員の皆さんの行動や意識の特性をとらえて、将来、どのような姿にしていきたいのか、考えながら、一歩ずつ歩むしかないと思います。


研修についての美しい誤解があります。
研修をしたとたんに、社員の目の色が変わり、行動がたちまち変わってくる。
そんなことはありえないのです。
漢方薬のようにじわじわと体質を変えていくしかないのです。


大掛かりのものを考えてはなりません。
私がやってきたのは今思い返すと次のようなことでした。


①研修の方式:e ラーニング・繰り返し定期的に実施。


1万4000人もの役職員を相手にするのです。対面研修ではとても間に合いません。
但し、少なくとも年1回以上繰り返し実施します。
(現職のとき、最終的にはコンプライアンス全般の研修は毎年1、2回、インサイダー取引にいたっては、年に4回実施しました。)


②対象者:役職を問わず広範囲に
基礎的な研修は若手だけに実施する、といった運営がしばしば見られます。
間違いです。管理者こそ、さらに言えば、経営層こそ基礎的な研修を徹底するのです。
コンプライアンス全般の研修やインサイダー取引の研修は、社長から平社員まで全員必修としました。


③研修時間:最長20分以内
その業務について初めて学ぶ人であっても、20分あればやり遂げることができる。
PowerPoint のスライドを理解し、確認テストまで済ませて20分。
自分の机の上で、業務の合間に簡単に取り組める内容に絞り込む。
もっとも、上級の管理者や経営者になれば先刻ご承知のことがほとんどです。
そんなに負担はかからないのです。実際には2、3分程度で済ませてしまう人も多かったようです。それでも繰り返すことで意識の中に刷り込まれるのです。



④研修内容:ひたすらシンプル、一目でわかる画面を工夫、音声は無用。
詰め込んではだめです。
余計な理屈は無用です。知識をひけらかすのは論外です。
今このとき、会社の中で役職員の皆さんが困っている内容、役職員の皆さんにぜひ訴えたい内容、それを厳選して取り上げるのです。
パワーポイントの画面は、知っている人ならば一目見れば何が書いてあるかがわかる程度に簡潔なものにしました。図解を多用しました。
音声は一切使いません。音声を使うと研修の進行が音声スピードで制約されてしまいます。わかっている人はスライドをどんどん飛ばしていけばいいのです。
わからない人は立ちどまって考え直せばよいのです。


⑤ケーススタディは自社の事例を中心に
ケーススタディは、現実に困っている内容、やるべき内容をわかりやすく伝えるには、おそらく最適の方法です。差し支えない限り会社の中の現実の事例やそれに近い事例を取り上げます。
「うちの会社でこんな困ったことが起こっていたのか!」多くの役職員が驚きます。
リスク管理部署にいる人は、頻繁に問題事例に遭遇しています。
それ以外の役職員の方は、本当にご存知ないのです。びっくりして、自分事として真剣に取り組みます。
その意味で研修会社やコンサルティング会社が用意する研修は、一般的な事例や有名な事例など、それぞれの会社から見れば今ひとつピンとこない内容のものが多かったようです。


⑥確認テストは、その解答プロセスでもう一度、考え直すきっかけになるように作成する。
問題10問、〇✖式にしました。
しかも、〇✖それぞれの選択肢に、それらしい理屈をつけておきました。


(問)「悪い情報こそ真っ先に上司に報告して欲しい。」
そのように徹底することで、悪い情報が埋もれることは相当程度防げる。


〇:その通りである。管理者が部下に報告・連絡・相談の徹底を図ることで、情報が埋もれるのはかなり防げる。
✖:そうとは限らない。情報を受け止める管理者の振る舞い方で、情報が伝わるかどうかが変わってくる。一例を言えば、悪い情報を上げたときに、管理者が「なぜもっと早く言ってくれなかった!」などと一度でも怒鳴ったことがあれば、部下は報告を上げてこなくなる。
(実際には研修の本文の中で、この解答を導き出せるようなヒントをちゃんと書き込んでおく。)


⑦必ずアンケートを設ける。
受講者からの忌憚のない意見をしっかり取り上げる姿勢を見せることです。
研修の効果測定の一環です。
研修主催者の中には、「アンケートでケチをつけられるのが嫌だ。」という人もいましたが、ケチをつけられるからこそ主催者は、鍛えられるのです。


⑧アンケートには自由記入欄を設ける。
さらにもう一つ。
「内容はわかりやすかったですか。」「ボリュームは適切ですか。」といった一般的な質問だけでなく、自由記入欄も設けました。
「その他、お気づきのことがあればなんでもご記入ください。この研修に関することでなくても構いません。」
実は、この自由記入欄で、様々とんでもない情報が入手できました。
いわば内部通報制度の代わりにもなるのです。コンプライアンスなどは全役職員向け必須研修であり、アンケートもその一環として回答を求められるので、心理的抵抗なく気軽に記入できるようです。
私は内部通報制度は、本質的に役に立たないと考えています。むしろ、全役職員向けアンケートをうまく使うことで、社内の問題を拾いあげるのに役立つと思っています。



【参考ブログ】
①内部通報制度について


②不正不祥事対応について(私のライフワークです。)



【虎猫銅鑼猫の不祥事コラム】


銅鑼猫

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