内部通報制度は根本的に役に立たない。
企業などの不正を訴える内部通報をした人を守る公益通報者保護法の改正案が、今国会で成立する見通しとなった、と報じられています。
通報者が不利益な扱いを受けた場合に行政が指導などをできる仕組みは導入されなかった、など問題点も指摘されています。
しかし、もっと本質的な問題を考えておく必要があります。
内部通報制度は、本質的に役に立たないのです。
内部通報制度を整えることは必要でしょう。しかし、それ以外の様々なチャネルを用意しておくべきです。
私の以前のブログからご紹介します。
①通報をためらう人の気持ちを察するべき
内部通報は基本的に使い勝手が悪いのだ。自分の通報で上司や同僚を裏切るのではという躊躇、的確に事実を把握できているかという不安、何よりも会社から仕返しされないか、というおそれだ。「通報者に不利益な処分はしない」といっても、人事異動でとんでもない部署に配転されないか、という懸念がつきまとう。会社は「通常の異動の範囲」というだけだろう。転職がままならない我国では、一生飼い殺しにされかねない。
②内部通報制度は、現実離れした想定に立っている。
内部通報制度は、勇気ある人が、自己犠牲をいとわず的確な調査の上で経営層に通報する、という現実離れの想定の上に立っているのだ。それなら、監督官庁、マスコミ、さらにSNSなどで社外への告発に動くのが、むしろ自然ではないか。
③内部通報の本来の目的に沿った仕組みをを考えるべき。
現場で気がかりなこと、疑問なことを中間管理職に妨げられずに経営層に伝えることだ。
毎年のコンプライアンス研修アンケートで「その他コンプライアンスでお気づきの点、疑問の点があれば自由にお書きください。」という記入欄を設けただけで、思いがけない情報も入手できた。全社員向け必須研修で、アンケートもその一環として回答を求められるので、心理的抵抗なく気軽に記入できるのだ。
様々な不祥事に関してのブログを取りまとめています。こちらもご参考までに。
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銅鑼猫