toranekodoranekoのブログ

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不正・不祥事に対抗するとても簡単な方法(仮想インタビュー)

企業で、スポーツの世界で、そして霞が関でも不祥事が相次ぎます。
どのようにしたら不祥事をなくせるのでしょうか。
この問題を長く研究されている銅鑼猫さんにインタビューしてきました。
 (注)この記事は次のセミナーの内容の一部をご紹介したものです。
 LRセミナー18/9/12(水)「不正・不祥事防止の2つの視点~監査と職場管理~」お礼


インタビュア(虎猫):銅鑼猫さん、不祥事が相次いでいますが、何とか手が打てないものでしょうか。

1.不祥事とは何か、からまず考えよう。


銅鑼猫:やり方は簡単だと思います。でもその前に「不祥事」とは一体何でしょうか?


:え、あの、その・・。やるべきことをやらずに社会に害を加えた行為・・でしょうか。


銅鑼:逆から考えてみましょう。コンプライアンスとは何か。法令遵守というだけでは狭すぎます。
コンプライアンスとはつまるところ、社会の要請に応えること、社会の信頼に応えることでしょう。


:まあ、そうですね・・。


銅鑼不祥事はその真逆です。社会の要請、社会の信頼を踏みにじること、裏切ることでしょう。

:あ、そう言われるとすっきりしますね。


銅鑼:少し厄介なのは、そのような社会の要請・信頼を裏切る行為(不祥事)は、別に悪意を持った人間によって発生するとは限らないことです。
   今回の厚生労働省の毎月勤労統計の問題も、担当していた人は「統計をごまかしてやろう」といった悪意を持っていたのではないのです。
   推測ですが、500人以上の大企業について、抽出調査でも同じような精度が得られるなら、その方が手間もかからないし予算人員の節約にもなる、などと真面目に考えていた可能性もあります。



2.不祥事の発生原因:社会からの要請を把握していないこと。
虎:なぜそんな間違いをしたのでしょうか。


銅鑼:これも簡単です。毎月勤労統計は、例えば賃金の動きを正確に追いかけるために必須である。これをベースにして社会保険・労働保険などの給付額の算定の基礎になっている。だから、手間をかけてでも決められた手順で正確に作業しなければいけない。
このような、統計の趣旨・目的を理解していなかったのです。
   製造業の品質偽装などは、さらにわかりやすいでしょう。すべての製造業に共通の課題は「安全は全てに優先する。」ということです。さらに言えば、「お客様との約束は遵守しなければいけない。」というようなことです。
納期に追われたからといって、お客様をごまかして約束の品質水準以下のものを出荷することはできない。そんなことをしていれば、お客様の信頼を失います。いずれは安全性の問題も生じてくるのです。


3.不祥事の発生原因その2:経営者が社会からの要請を現場に徹底していないこと。
虎:なぜ、そんな考え違いを起こししまったのでしょうか。


銅鑼:必ず守るべき課題は何か、絶対に譲れない問題は何なのか、それをトップが現場に徹底していなかった、ということです。
 現場には様々なプレッシャーがかかります。民間企業なら収益目標、コスト削減圧力、納期の厳守、などでしょうか。官庁も収益目標はないとしてもコスト削減圧力や納期の厳守などは厳しいプレッシャーがかかっているでしょう。
現場の人はともすると自分の目の前にあるプレッシャーに負けてしまうのです。

虎:そういえば、不祥事が起こったときに、どこかの経営者が「現場が勝手にした。」とか言ってしまってひんしゅくを買いましたね。


銅鑼:現場が目の前のプレッシャーに負けないようにするためには、経営トップは(官庁のトップも同様ですが)、組織として、社会から求められていることは何なのか、社会の要請・社会の信頼に応えるためには何が大切なのかを、繰り返し現場に徹底しないといけないのです。


4.企業理念・経営理念は闇夜の灯台
虎:それが企業理念だったり経営理念だったりするのですね。


銅鑼:企業理念や経営理念は、床の間の飾りではありません。いざというときの最後の拠り所なのです。闇夜の荒海で、他に何も頼れないときに、進むべき道を示すもの、とでも言えばよいでしょう。灯台とかレーダーとか海図とか、そんなものかもしれませんね。


5.経営者の有能・無能は簡単に見分けられる。
銅鑼:優れた経営者か無能な経営者かは、多分簡単に見分けがつきます。
 「あなたの組織では、社会から何を求められているのですか」「あなたが絶対に守らなければいけないと思っていることは何ですか。」そんなふうに聞いてみる事です。
これに即答できないようでは、経営者の資格はありません。
 そして経営者への2番目の質問は、「いまおっしゃった社会からの要請、社会からの期待についてあなたの組織では、どのようにして現場に周知徹底されていますか。」と尋ねてみることです。そのときに、経営者が具体的な周知徹底の姿を明確に説明できるか、確認してみましょう。
 その上で、本当にその経営者が語った通りに周知徹底策が取られているのかを、現場を訪問して尋ねてみることです。経営者が周知徹底しているつもりでも、現場にまで浸透しないことはしばしばあるのです。



5.不祥事発生の原因はまず第1に経営者にある。
虎:それを「現場がプレッシャーに負けて云々・・」といって現場の責任に押し付けているのですね。


銅鑼:その通りです。その組織に対する社会の要請は何か、社会の信頼の基盤は何か。経営者の役割はこれを現場に徹底することに尽きるのです。
 現場が納期に追われて予定の品質を確保できない、といった懸念があれば、現場は、自分で判断してはいけないのです。現場が自分の権限で勝手に行動して社会の要請を踏みにじることを許してはならないのです。現場は、経営者に事実を伝えて判断を仰ぐのです。


6.不祥事を防ぐ組織の作り方・運営の仕方
虎:イメージとしてはわかりますが、現実には難しそうですね。

銅鑼:当然ですが、簡単ではありません。どのような場合を異常事態と認識し、経営者に速やかに報告するか、そのようなことは徹底的にルール化して、いわば自動的に経営者に報告が上がるようにしなければいけません。
 もちろん、経営者が1人で判断できるわけではありませんから、現場を統括する人や、その上の管理職や役員等に、一定の場合の判断基準を明確にして判断権限を委譲する、ということになるでしょう。そのような管理職などの中間層の人は、自分の権限で判断できることがどこまでなのかを明確に把握しておかなければなりません。自分の判断権限を越えた問題が生じたならば、躊躇せずに経営者の所へ飛んでいって判断を仰がなければいけないのです。
 このような判断基準・判断権限は、はじめに申し上げた「組織に対する社会の要請はなにか、社会の信頼の基盤は何か」というベースから策定・運営されるのです。
そして、社会の動き、組織のあり方を踏まえて不断に見直しされていくべきなのです。

虎:今日はありがとうございました。少しずつイメージが見えてきました。
銅鑼:今日お話したのは、いわば端緒にあたる部分です。また、少しずつ詳しいお話をして参りましょう。


銅鑼猫 虎猫


【注】2019年1月14日:虎猫銅鑼猫のイラストを追記しました。

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