toranekodoranekoのブログ

クリスチャンブロガーが綴るブログです。
明るい高齢化社会、病から得た様々な宝、世の中の動きへの警鐘(銅鑼)を鳴らすこともあります。
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なぜ伊藤忠商事だけが朝方勤務に成功したのか。

2月7日に産業雇用安定センター、日経ビジネス企画編集センター主催の「働き方改革2018シンポジウム」に出席しました。


その中の基調講演である伊藤忠商事代表取締役専務執行役員CAO小林文彦様のお話をかいつまんで紹介します。


1.第一の改革の挫折
伊藤忠商事でも2003年から「人生多様化推進計画」として、様々な目標を掲げて改革に取り組んだが挫折。
①数値目標
「新卒総合職女性比率30%」「海外ナショナル幹部登用50%」「毎年20人から52のキャリア採用」
②制度拡充
「育児短時間勤務を「3歳まで」から「小学校卒業まで」、配偶者海外転勤休職制度。


なぜ失敗したのか。
①数値目標:数字が独り歩き、数字を達成しないと評価されない。
 「何が何でも〇%以上」として、現場の混乱を招いた。
②制度拡充:頑張って貢献しなくても制度は利用できる。取得が当然、といった気持ちの人が出てきた。本来は頑張って貢献する人が働きやすいようにする狙いみだったのに。


2.第2ステージ「厳しくとも働きがいのある会社」への変革
 他の商社よりも少ない人数で、お客様目線を失わず高いモチベーションを持って成果を上げる。社員の健康と幸せを守る。そのような姿勢で労働生産性の向上を図った。数値目標は廃止した。
労働生産性=付加価値(新しい価値の創造)÷従業員数(少数精鋭化)


 朝型勤務制度は、その一環として2013年に導入。これ以外にも「女性活躍」「健康経営」「がんと仕事の両立支援」など様々な取組みがある。


朝型勤務制度について述べる。
目的は、多残業体質の改善、業務効率化による生産性向上、お客様対応徹底(守備型から攻める経営)、生み出された余剰時間を通じた社員の心身向上、などである。


①段階的実施・社内の意思結集
 まず、社内会議・資料削減等の業務効率化推進、2013年10月から朝型勤務制度導入。
20時以降の残業は原則禁止、22時以降の深夜勤務は全面禁止。
翌日朝勤務(5時~8時)を導入したが、深夜と同様の割増賃金(時間管理対象者は150%、時間管理対象外の人でも25%)、軽食も無料配布。
これに至る前に社内各階層で徹底的な説明会を行い、組織ごとの業務効率化の取り組みを徹底した。経営トップからのメッセージも継続的に発信した。


②海外との時差も問題ない。
 海外との時差から、深夜業は避けられないのではないか、という声があったが、よく考えて欲しい。例えば、東京の朝7時~10時は、ニューヨークの17時~20時、東京の18時から20時はニューヨークの朝9時から11時だ(ニューヨークは、東京-14時間、ロンドンは東京-9時間)。この時間を使えば打合せはできる。


③成果
導入前と比較する。
 コスト約6%削減(残業手当約10%減、朝食代等のコストの上乗せを含めて6%削減)。
 20時以降退館:約30%から5%に(内22時以降:約10%からほぼゼロに)
 月平均時間外:総合職50時間事務職30時間から約15%削減。
 社員のエンゲージメントサーベイ
 エンゲージメント78%、社員を生かす環境67%、日本平均を夫々20%10%上回る。
本来の狙いではなかったが、電力使用量、温暖化ガス排出量も数%減、タクシー代30%減となった。


④朝方勤務導入4年経過後の取組
 組織や組織長の評価項目に朝方推進度を加えた。
 朝食メニューも充実
 朝活研修(7時30分から9時)も拡充:月一度のセミナーで有識者による特別講演(中国ビジネス、健康経営、業務効率化など)、朝活中国語カフェ(朝食を食べながら中国語でビジネス関連トピックを議論)
このようにして社員の90%以上が本制度に賛成している。


3.朝方勤務シフト成否のカギ
 経営トップのリーダーシップが第一。長時間労働のDNA を塗り替えるのだ。トップしかできない。
 組織長の腹落ち:組織運営のキーパーソンであり、徹底した啓発を行った。
 コストカットと思わせない逆転の発想:社員一人一人に「やってみようか」と思わせる仕組みつくり。朝食の提供、割増賃金等
 業務効率化も併せて実施。
 成果が出たらリターンする。
働き方改革は「意識改革」と「業務改革」である。徹底した対応が成否の鍵を握る。


4.なぜ、他社ではできないのか。
 当社の朝型勤務制度について、多くの会社の方が話を聞きたいとやって来られる。
手間はかかるがともかくすべてをお見せし、できる限りの協力を惜しまなかった。
ところが、「うまくいった。」という話をほとんど聞かない。
なぜか。
おそらく、経営トップが伊藤忠の話を聞いて部下に話を聞きにやらせただけではないか。「経営者自らが取り組まなければいけない」という覚悟を持っていないのではないか。
社長が役員なり部下に「良きに計らえ」と言っていてはだめ。自らが覚悟を持ち、自ら継続的にその覚悟を情報発信していかなければならない。


 当日は、がんとの両立支援など様々なお話もいただきました。
一言だけ、がんに罹患し亡くなった社員の方が「我社は、日本で一番いい会社だ。」とおっしゃったそうです。詳しくは別の機会にご紹介いたします。


銅鑼猫

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