toranekodoranekoのブログ

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テレワークの際にも事業者には安全配慮義務が問われる。

皆さんはどうお考えですか。


自宅等でテレワークを行う場合、労働者の就労場所が会社の管理下にないため、会社に安全配慮義務違反が認められることは、基本的にはない。仮に例えば労働者が在宅勤務中に椅子から転がり落ちたなどの労働災害が起こったとしても、会社に安全配慮義務が問われることはない。
そのような意見があるようです。


私は、上記の意見には賛成できません。
 厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」「8 テレワークにおける安全衛生の確保」では、テレワーク等で、就業場所が事業者が業務のために提供している作業場以外であっても、各種衛生基準などと同様の作業環境になるよう配慮することを求めています
そのためのチェックリストや作業環境整備のわかりやすい図解まで示されています。


会社など事業者としては、これらを十分に活用し、テレワークについても安全配慮義務を尽くすことが求められていると考えておくべきでしょう。
テレワークでこそ、労働者は自宅をはじめとする不慣れな就業場所で業務を遂行する必要があります。会社としてテレワークを求めたり認めたりする以上は、むしろ、自分の管理下の就業場所での勤務以上に万全の配慮をすべきでしょう。
すなわち、法律論をいえば、会社としては、「労働者が不慣れな作業環境の中でこそ、労働災害が起こりかねない」という予見可能性がある、とも考えられます。
結果回避のために事前に労働者への十分な説明・指示が求められる、ともいえるでしょう。


安全配慮義務とは「やるべきことを尽くす義務」です。労働者がケガや病気にならないよう、快適な職場環境が保たれるよう最善の努力をしなさい、という意味なのです。


少なくとも無用の紛争を回避する見地からも「テレワークで安全配慮義務が問われることはない」といった断定的な考え方は避ける方が無難でしょう。


なお、会社としてガイドラインに従ってチェックリストの活用等でテレワーク従事者への注意喚起や指導を行っておれば、例えば労働者が不注意で椅子から転がり落ちて、ケガをしたとしても、安全配慮義務違反を問われることは考えにくいでしょう。
もちろん、労災保険に関しては労働者の過失があっても給付が行われることになるかとは思います(故意・重過失の場合は別です:労災保険法第12条の2の2)。


【厚生労働省の参考資料】
①自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備



テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン


8 テレワークにおける安全衛生の確保
(3) 自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備の留意点
テレワークを行う作業場が、労働者の自宅等事業者が業務のために提供し
ている作業場以外である場合には、事務所衛生基準規則(昭和 47 年労働省
令第 43 号)、労働安全衛生規則(一部、労働者を就業させる建設物その他
の作業場に係る規定)及び「情報機器作業における労働衛生管理のためのガ
イドライン
」(令和元年7月 12 日基発 0712 第3号)は一般には適用されな
いが、安全衛生に配慮したテレワークが実施されるよう、これらの衛生基準
と同等の作業環境となるよう、事業者はテレワークを行う労働者に教育・助
言等を行い、別紙2の「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確
認するためのチェックリスト(労働者用)」を活用すること等により、自宅
等の作業環境に関する状況の報告を求めるとともに、必要な場合には、労使
が協力して改善を図る又は自宅以外の場所(サテライトオフィス等)の活用
を検討することが重要である。


(4) 事業者が実施すべき管理に関する事項
事業者は、労働者がテレワークを初めて実施するときは、別紙1及び2の
チェックリストを活用す
る等により、(1)から(3)までが適切に実施される
ことを労使で確認した上で、作業を行わせることが重要である。
また、事業者による取組が継続的に実施されていること及び自宅等の作業
環境が適切に維持されていることを、上記チェックリストを活用する等によ
り、定期的に確認することが望ましい



別紙1
テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト【事業者用】
1 このチェックリストは、労働者にテレワークを実施させる事業者が安全衛生上、留意すべき事項を確認する際に活用いただくことを目的としています。
2 労働者が安全かつ健康にテレワークを実施する上で重要な事項ですので、全ての項目に☑が付くように努めてください。


2 安全衛生教育について(23年7月24日追記)
(3) テレワーク中の労働者に対する安全衛生教育
テレワーク中の労働者に対してオンラインで安全衛生教育を実施する場合には、令和3年1月25日付け基安安発0125第2号、基安労発0125第1号、基安化発0125第1号「インターネット等を介したeラーニング等により行われる労働安全衛生法に基づく安全衛生教育等の実施について」に準じた内容としているか。


3 作業環境
(2) 自宅
別添2のチェックリスト(労働者用)を参考に労働者に自宅の作業環境を確認させ、問題がある場合には労使が協力して改善に取り組んでいるか。また、改善が困難な場合には適切な作業環境や作業姿勢等が確保できる場所で作業を行うことができるよう配慮しているか。


別紙2
自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト【労働者用】

1 このチェックリストは、自宅等においてテレワークを行う際の作業環境について、テレワークを行う労働者本人が確認 する際に活用いただくことを目的としています。
2 確認した結果、すべての項目に☑が付くように、不十分な点があれば事業者と話し合って改善を図るなどにより、適切 な環境下でテレワークを行うようにしましょう。



③安全配慮義務についての玉上の記事
産業医紹介の有力サイト「エムスリーキャリア」に掲載いただいたものです。



【7月20日追加】
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銅鑼猫(社会保険労務士玉上信明)

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