労基署員の不用意な一言が人の命を奪った。
朝日新聞の本日(10月23日)の朝刊でこの記事を見つけて愕然としました。
「対応した職員は、精神疾患が絡む労災の認定はハードルが高いとして「認定になるケースは非常に少ない」「難しいのかなという印象を受ける」などと発言。男性は労災申請書の交付を希望して窓口を訪れたが、職員は労災制度のパンフレットを渡しただけだった。」
デジタル版で更に詳しい内容が載っています。
「厚生労働省の認定基準には「強い心理的負荷」の一例として、『突然の解雇通告を受けても何ら理由が説明されず、解雇も撤回されなかった』ことが挙げられている。」
「職員はこの通知書を理由に、『納得される、されないは別として、(会社から)説明がされているという事実もあるので、なかなか該当するのは難しいのかな』『こちら(労基署)としても気持ちで判断できることではない』と言及。」
「労災申請を希望することは、最初に窓口で伝えていた。職員は最後まで申請書を出すことはなく、帰る間際に労災についてのパンフレットを差し出しただけだった。」
この労基署員員の対応は明らかに常軌を逸しています。
他でも同じような事例があるのでしょう。厚労省には徹底的な調査と再発防止策策定を求めます。
残念なのは、労基署の説明に疑問を感じたとき、別の相談窓口に相談されればよかったのに、という思いです。
しかしそれは、社会保険労務士として労災についてはある程度の知識があるから言えることであり、一般の方は労基署員からここまで言われたら諦めてしまうでしょう。
同様のことは会社の中でもよく行われています。労災申請を求める労働者に対して会社の管理職が労災認定は難しい、として申請を妨げる行為です。
労災の全体について私のまとめた記事があります。
人事労務の担当者向けの解説記事ですが、会社で働く方々に広く知っておいていただきたい内容です。ぜひご一読ください。
この記事の中では会社の言う事をうのみにせず、ともかく労基署に相談してください、と書いていたのですが、肝心の労働基準監督署で、上記のような馬鹿げた対応がされていることには思い至りませんでした。
【相談窓口のご紹介】
労基署の対応・会社の対応に疑問があればぜひ、次の相談窓口へご相談ください。
①総合労働相談コーナー
各都道府県労働局、全国の労働基準監督署内などの379か所に設置されています。
②社会保険労務士
労働問題の専門家です。東京都社会保険労務士会では、無料相談窓口も設けています。
③労働問題に詳しい弁護士
弁護士がすべて労働問題に詳しいわけではありません。労働問題に詳しい弁護士は取り扱い案件などから確認してください。
労働問題を専門に扱う弁護士は、例えば、日本労働弁護団に多数いらっしゃいます。
【銅鑼猫の労災関係記事はこちら】
銅鑼猫は労働災害関係について、各方面で執筆を続けてきており、これまでもブログで様々紹介しています。ご興味のある方はぜひご一読ください。
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