はらぺこあおむし毎日新聞パロディは著作権法違反
毎日新聞掲載のパロディ漫画はらぺこあおむしをIOCバッハ会長に見立てたものが問題になっています。
【東京新聞記事より】
IOC委員を「はらぺこあおむし」に見立てた風刺漫画に出版元社長が意見 「センスのなさ露呈、猛省を」に込めた真意は
このような風刺パロディは著作権の侵害(特に翻案権などの問題)であり、著作者人格権の侵害にも該当します。刑事罰が科されてもおかしくない事態です。
案外知られていない問題ですが、著作者人格権(この場合は特に同一性保持権)の侵害に当たる行為は著作者の死後でも刑事罰を持って禁止されています。
【偕成社社長のコメント】
風刺漫画のあり方について
私は毎日新聞社及び偕成社にこの趣旨で意見を送りました。
【偕成社向け】
(毎日新聞社向けは、速やかに削除謝罪されるべきとの趣旨を申し上げました。)
社会保険労務士の玉上信明(たまがみのぶあき)と申します。
2015年65歳定年退職まで三井住友信託銀行で法務コンプライアンスを担当、知的財産権も勉強して参りました。
6月7日付の貴社社長のコメントについて。この風刺パロディーは、著作権法違反の可能性が強いと思われます。もっと厳しい意見を述べられるべきです。
文化庁の注意喚起をご覧ください。また、著作者の死後でも生前なら著作者人格権侵害に当たる行為は刑事罰を持って禁止されています。
①文化庁の著作権なるほど質問箱より
有名なマンガをパロディにした場合、著作権の侵害に当たるのでしょうか。
A パロディの方法にもよりますが、一般に著作物の複製や翻案に該当する場合が多く、また著作物の同一性を損なうことも多いと考えられますので、権利者から複製権(第21条)、翻案権(第27条)又は同一性保持権(第20条)の侵害で訴えられる可能性は常に考えられ慎重に対処する必要があると思います。
ある作品をパロデイにするというのは、世間によく知られた作品の特徴を残しながら内容を変えて滑稽化・諷刺化することを言いますが、例えばフランスのように、著作物のパロデイ化について著作権を法律上制限している国があるものの、我が国はそのような法制はとってないので、原則に戻って考える必要があります。
②著作者死後の著作者人格権の取り扱い
著作者人格権は本人の死後にも適用され、告訴を待たずに刑事罰が科されることがあります。
(著作者が存しなくなつた後における人格的利益の保護)
第六十条 著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。
第百二十条 第六十条又は第百一条の三の規定に違反した者は、五百万円以下の罰金に処する。
第百二十三条 第百十九条第一項から第三項まで、第百二十条の二第三号から第六号まで、第百二十一条の二及び前条第一項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
以上
銅鑼猫