「20歳前障害の障害年金受給」支援のために
社会保険労務士の玉上(銅鑼猫)です。
2019年8月4日東京都社会保険労務士会自主研究グループ「障害年金研究会コスモ」の研究会での発表内容の概要をお伝えします。
障害年金についてお知りになりたい方、サポートを必要とする方は、ぜひご連絡ください。
【ポイント】
①20歳前に障害になった方で、国民年金の障害基礎年金が支給されるケースが相当あります。よく知らず取りはぐれている方が多数いらっしゃるのではないでしょうか。
②障害年金の支給が始まっても、途中で打ち切られてしまうケースも相当数発生しています。障害が回復したのではなく、対応の不十分さに起因する場合も少なからず生じているようです。
③診断書を書く医師への注意喚起、社会保険労務士からの適切なアドバイスやサポートが望まれます。
1.20歳前障害のある方について障害年金が受給できることは周知されているか?
(1)20歳前障害者数:身体7.1万人、知的22.1万人、精神26.9万人
(出所)
>参考資料 障害者の状況
(2)障害基礎年金受給者数・給付月額
受給者数:192万人(内基礎のみ163万人) 平均年金月額72,245円
障害年金の新規裁定件数:日本年金機構月報では、毎月6~8千人程度。
但し、20歳前障害による受給者数、新規裁定件数は不詳。
2.障害年金裁定請求やその手続の実施者
多くの場合、親御さんが支援施設・学校・知り合いの方などのサポートで見よう見まねでされている?社会保険労務士の早期関与で、適切な手続きが進むのではないか。
(参考1)
日本国内には身体障害者、知的障害者、精神障害者を併せて、約936万人※1の障害者がいるとされていますが、そのうち障害年金を受給されている人の数は約208万人※2と、全体の4分の1程度にとどまっています。 すべて障害者に受給資格があるとは言えませんが、なお相当数の方々が、受給要件を満たしているのにもかかわらず、障害年金を受給できていないのが現状です。
(※1)…平成30年度版『障害者白書』による。
(※2)…厚生労働省『平成30年1月 制度別年金受給者数』による
(参考2)障害年金申請サポート咲くやこの花相談室
3.障害基礎年金受給者の支給打切り問題はなぜ起こっているのか。
(1)20歳前障害年金受給者の関係者の発言
「受給が打ち切られた。社労士に対応してもらったが、だめだった。」
「自分の子供は毎年『障害状況確認届』の提出を求められる。同様の障害の別のお子さんは3年に一度、5年に一度、あるいは確認届提出不要とされている。なぜこんな違いが出で来るのか。」
(2)ある社労士の先生の声
「何年か継続して就労していると、障害年金更新で支給停止になるケースが増えていて、
再審査請求までいってもなかなか覆りません。」
(3)日本共産党衆議院議員高橋ちづ子氏のホームページより
質問日:2018年 6月 1日 第196国会 厚生労働委員会
(抜粋)
「高橋氏は、昨年4月の審査の一元化以後、1年間に障害等級が非該当になって打ち切りとなった人数を質問。厚労省の高橋俊之年金管理審議官は、20歳前の1010人のほかに、20歳以降に障害を負った約2900人が非該当になったと答えました。
高橋氏は、明らかにされてこなかった申請数の公表を要求。高橋審議官は「一元化した機会に取り組みたい」と約束しました。」
政府参考人の発言より
「(これまでは)このくらいの記載をすると、大体、二級にもなっている。本来はもっとしっかりと書き込んでいただかないといけない場合もあるかもしれない。実際の障害の状態はもっと重いのに、それまではこういう簡単な書き方でも二級で通っていたということで、引き続き同じような診断書が出てきたのかもしれない。実際にはもっと重い、二級の障害相当だったのかもしれない。 なので、もう一度改めて、しっかりと主治医の先生に書いてもらう必要があるんじゃないか(後略)」
(参考)日本年金機構 障害基礎年金 お手続きガイド
銅鑼猫