toranekodoranekoのブログ

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新型コロナの中のテレワーク時間管理(厚生労働省検討会報告書ほか)


緊急事態宣言の再度の発出に関し、労働時間の問題について取り急ぎ、参考となる資料をまとめました。
改めて整理したいと思います。お気づきの点などあればご教示いただければ幸いです。


1.日経新聞の奇妙な社説


大変疑問に思うのは日経新聞の昨年12月29日付社説です。


「まず求められるのはテレワークの使い勝手の改善だ。現在は、業務に就かなければならない時間は原則、通常と同じく会社が定め、画一的に時間管理をする。これでは子育てや家族の介護をする人が夜に集中的に仕事をしたり、時間にとらわれずアイデアを練ったりすることが難しい。
打開策は、働き手自身が仕事の進め方と時間配分を決められる裁量労働制を、在宅勤務で利用しやすくすることだ。」


裁量労働制などと大げさに構えなくても、例えばテレワークマネジメント社の「F-Chair+(エフチェアプラス)」を用いれば、労働時間管理も中抜け等の柔軟な働き方も容易に達成できるはずです。


日本テレワーク協会などでも様々なソリューションを紹介されています。



日経新聞の社説論者は、このような基礎的な情報も収集しておられないのでしょう。ひたすら「脱時間給」等の議論に邁進しようとしているようです。
的外れな論説が、テレワークに取り組もうとする企業等を困惑させているのではないかと懸念します。


2.厚生労働省「これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書」
厚生労働省は12月25日、「これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書」
を公表し骨子しています。
報告書は、テレワークの対象者を選定する際の課題、労務管理上の課題(人事評価、費用負担、人材育成)、労働時間管理の在り方、作業環境や健康状況の管理・把握、メンタルヘルスへの対応方針等についてまとめたほか、良質なテレワークを推進するために必要な対応を提起しています。



報告書
(参考)「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」報告書概要


次の記述があり、注意しておく必要があります。


第4 個別の論点について
(3)テレワークの場合における労働時間管理の在り方について


「〇 テレワークの場合における労働時間管理について、労使双方にとって負担
感のない、簡便な方法で把握・管理できるようにする観点から、成長戦略会議
の実行計画(令和2年12月1日)
において指摘されているように、自己申告さ
れた労働時間が実際の労働時間と異なることを客観的な事実により使用者が
認識している場合を除き、労働基準法との関係で、使用者は責任を問われない
ことを明確化する方向で検討を進める
ことが適当である。」
⇒意味がよくわかりません。使用者の労働時間管理の責任をまのがれさせようというのでしょうか。免れるさせようというのでしょうか。
成長戦略会議の実行計画については、3.に掲載しています。その文言そのままです。


「〇また、テレワークを自宅で行う際には生活の場所で仕事を行うという性
質上、中抜けが生ずることも想定される。このことから、取扱いについて混乱
が生じないよう、中抜け時間があったとしても、労働時間について、少なくと
も始業時間と終業時間を適正に把握・管理すれば、労働基準法の規制との関係
で、問題はないことを確認しておくことが適当
である。」
⇒中抜け時間の問題は、テレワークにつきまとうことであり、従来から様々議論されてきました。素直に読めば、多少の中抜けなど気にしなくても良いのではないか、とも読めます。
その意味であれば私は賛成ですが、全体を読まないとよくわかりません。


3.成長戦略会議の実行計画(令和2年12月1日)
厚生労働省検討会は、以下の記述をそのまま掲載しています。
これも意味内容をよく把握しておく必要があると思われます。


「実行計画」
「第5章 「人」への投資の強化 .
2.テレワークの定着に向けた労働法制の解釈の明確化
(1)労働時間の把握・管理
テレワークの時間管理について、労使双方にとって負担感のない、簡便な方法で
把握・管理できるようにするため、ルールを整備する。
具体的には、以下の方向で検討を進める。
①テレワーク時における労働者の自己申告による労働時間の把握・管理について
は、自己申告された労働時間が実際の労働時間と異なることを客観的な事実に
より使用者が認識している場合を除き、労働基準法との関係で、使用者は責任
を問われないことを明確化する。
②(中抜け時間があったとしても、)労働時間について、少なくとも始業時間と
終業時間を適正に把握・管理すれば、労働基準法の規制との関係で、問題はな
いことを確認する。
③テレワーク時には原則禁止であるとの理解があるテレワークガイドラインの
「時間外、休日、深夜労働」について、テレワーク以外の場合と同様の取扱い
とすることについて検討する。」


4.テレワークガイドライン
このテレワークガイドラインは、次のものです。

この中で「中抜け時間」「時間外、休日、深夜労働」あるいは「事業場外みなし労働時間制の適用要件」なども、私の理解の限りではしっかりと整理されています。
その中身を変更しようというのでしょうか。
現在のガイドラインとどのように異なることになるのか、明確な整理が判然としません。
なし崩しにおかしな方向に変更されていかないか、懸念しています。


とりあえず今回は、各種資料をご紹介し、問題提起だけにとどめます。


銅鑼猫

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