toranekodoranekoのブログ

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激動する世界情勢とイノベーションの新潮流―東レ経営研究所特別講演会(その3:日本産業界の立ち位置)

Ⅲ.激動する世界の政治・経済情勢と日本産業界の立ち位置
寺島実郎氏(一般財団法人日本綜合研究所会長・多摩大学学長)
「寺島実郎の時代認識」冊子に基づく説明


経営は時代認識。激流の中で平衡感覚を保つのは難しいが、いろいろな人の話を聞き、数字にしっかりと着目すること。


①IMF の世界経済見通し(対前年比GDP伸び率)
世界経済全体は下振れリスクはあるものの、順調に成長。
先進国のみならず新興国も伸び、世界は多極化している。
インドの成長が中国を抜いている。ASEAN の伸びも日本への追い風となる。
アジアのダイナミズムが日本を支えている。
しかし、日本は18年1.1%、19年0.9%、20年0.3%に減速が見込まれる。
IMFは、消費税増税がもたらす負の影響を警告している。


②日本の貿易相手国・物流
米国は好調。IoT を生かした競争力。
日本の貿易相手国シェアを見ると2007年に中国が米国を抜き、香港マカオ台湾まで含めた「大中華圏」としてみると現在では米国の倍のシェア(米国15%、大中華圏30%超)。


貿易構造のアジアシフトにより、物流は太平洋から日本海物流の時代になった。
世界の港湾ランキングベストテンのうちに大中華圏が8つ。神戸横浜は見る影もない。
中国から日本海を通って米国に行けば船足は2日間節約できる。
世界地図をメルカトル図法で見ていると、このようなことは理解できないのだろう。


③デジタルエコノミー
GAFA+M(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)の時価総額は4.0兆ドル(約442兆円)、テンセントとアリババで0.9兆ドル(約103兆円)。
我国の東証一部上位5社(トヨタ、NTTドコモ、ソフトバンクグループ、三菱UFJG,
KDDI)合計でも62兆円に留まる。
時価総額は市場が企業価値を評価したもの、企業は時価総額を超えるリスクは取れない。


④「ものづくりの日本」の衰退
技能五輪国際大会で、日本選手団は2001年以降ほぼ1位~3位を占めていた。
2017年は9位に凋落。
2017年の競技51種目には、昔ながらの製造業種目だけではなく、理美容、ビューティーセラピー、洋裁、洋菓子製造、看護介護までも入っている。要するに現場力が落ちているのだ。トップは現場を見ているのか。
タカタでの再建に当たって、トヨタだけが「安全性が大切だ、一緒にしっかりやろう」として交渉のテーブルについた。他の自動車メーカーは、1部品のことに過ぎないと、他人事のように感じていたのではないか。
各社がマネーゲームに走り、現場を支える力、技術を支える力を見失ってきているのではないか。


⑤サラリーマン層の没落・内向きの生活
1990年から2017年までを見ると、名目・実質 GDP は23~25%の増加。
ところが、勤労者世帯可処分所得はこの間に1.6%の減少。
2000年から2017年の消費支出の変化を見ると、全体では月額34000円の減少。
衣食住、小遣い・交際費、教育娯楽関連費用がすべて減少し、諸雑費通信費が若干の伸び。
すなわち、大きなものは買えず、つまらないもので我慢し、スマホ人生に浸っている姿だ。
内向き指向の中で、テレビ等では日本褒めの自画自賛番組が蔓延している。


⑦高齢化社会への向き合い方
 高齢化は、単なるコスト増なのか。人生百年時代に高齢者が社会参画できるプラットホームを構築していくべきではないのか。
そうでないと高齢者クレーマーがはびこるだけだ(クレーマーの70%は70歳以上の男性)。それも現役時代に役員を経験したような人が、社会貢献とでも勘違いしてクレーマーになっている。


Q.(会場からの質問)エネルギー問題について一言お願いします。
A.日本の技術ポテンシャルは高い。原子力については、技術基盤をどのように残すのかが問題。廃炉にも高い技術が必要だ。
ロシアや中国が原発輸出に踏み込んでいく中、日本の技術をすたれさせて良いのか。
                                     以上


銅鑼猫

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