toranekodoranekoのブログ

クリスチャンブロガーが綴るブログです。
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自主研フェスタお礼―マタハラ判決に見る経営者のあるべき姿

   11月16日開催の東京都社会保険労務士会自主研フェスタは、東京会の自主研究グループの発表大会です。
【参考ブログ】東京都社会保険労務士会自主研フェスタのご案内(11月16日金曜日)


 私は労働判例研究会のメンバーとしていわゆる「マタハラ判決」について発表いたしました。(広島中央保健生協(地位確認等請求)事件(最一小 平成26年10月23日判決
その場の説明内容・質疑応答などをご紹介します。
 私は、社会保険労務士として様々な労働判例を学んできましたが、率直に言って、事業主・経営者が、労働者を大切にするという姿勢で事業運営に当たっておれば、紛争にはならないのに、といつも感じております。仮に紛争になっても、労働者と十分に話し合って円満な解決がはかれたはずなのに、と思います。
この事件も、事業主側の粗雑な対応が紛争を巻き起こしたのです。
それによってマタハラの指針が明確化されたことは、実務家としてありがたい事です。しかし、事業主・経営者としては世の中に悪い意味で名前を知られ、恥ずかしい思いをすることになったと思います。


【当日の模様】
 来場いただいたのは30名ほど。
 判決内容を解説し、私なりのコメントのうえ、会場の皆様と質疑応答・意見交換を行いました。1時間の持ち時間のうち、発表40分、質疑応答・意見交換20分という配分の割合は、労働判例研究会の実際の運営の雰囲気を皆様に知っていただくためです。
 事案は、理学療法士の女性が第2子妊娠のさいに軽易業務への転換を求めたところ、管理職(副主任)から非管理職に降格されました。軽易業務への異動後のチームに先輩の主任がいるということが理由でした。
 しかし、出産・育児休業後に別のチームに配属されたのですが、副主任への復帰は認められませんでした。本人の6年後輩が既にそのチームの副主任として任じられており、管理職たる副主任を複数置くことはできない、としたものです。
 第一審・第2審は、「管理職の任免は事業主の経営判断」として、原告女性労働者の請求を棄却しました。
 しかし、最高裁で破棄差戻されました。軽易業務への転換時の降格自体を疑問視したものです。「(チームにおける)主任又は副主任の管理職としての職務内容の実質及び同科の組織や業務態勢等は判然とせず,仮に上告人が自らの理学療法士としての知識及び経験を踏まえて同科の主任とともにこれを補佐する副主任としてその業務につき取りまとめを行うものとされたとした場合に被上告人の業務運営に支障が生ずるのか否か及びその程度は明らかではない。」
 差戻後の高裁判決で、女性労働者の降格は違法無効、管理職手当等の不支給分の支払いに加え、慰謝料100万円の支払いまで認められました。
この判決を機に、マタハラについての解釈通達が明確化された重要判例です。


 その場で私なりの意見を申し上げました。
① この方は10年かけてようやく副主任になった。降格処分は、本人のプライドを著しく傷つけるもので、本当にやむを得ない事情があるのでなければ、よほど慎重でなければならない。手当だけの問題ではない。
② 6年後輩が副主任になっているならば、「後輩をリーダーとして育てているところだ。Xさん、あなたも副主任の先輩として、後輩副主任を助けて育ててあげてください。」とでも言えば済んだことだ。事業主としてのやり方は様々あったはず。
③ こんなことで世の中に名前が知られて、事業主としてどんな得があるのか。
④ 均等法の第1条第2条目的理念の規定をもう一度読み直して、考え直すべきだろう。
⑤ もっとありていに言うならば、こんな程度のことでお上から細々とした通達で、箸の上げ下ろしまで指示されること自体が、事業主・経営者として恥ずかしいことではないか。


 また、来場者と次のような意見交換をいたしました。
Q.事業主からは育休復帰後にお子さんの体調云々で休んだり、早退する人について、査定などで差をつけることができるか、勤怠が乱れることもどう考えればよいのか、という質問を受ける。介護などでも同様の問題が起こりうる。
A(銅鑼猫)
 指針などで細かな記載はあるが、本当にそれで全部尽くせるのか、どんな場合にもあてはまるのか?その人の業務内容や個人の事情なども考慮すべきではないか。例えば、他のチームメンバーでカバーでき、メンバーが納得できるなら、皆で助け合えばよく、直ちに査定にはねる必要もないのではないか、といった視点である。
 結局最後に立ち返るのは、手前味噌になるが、私が日経新聞に書いたハラスメントの基本的な考え方ではないか。
2017年1月30日日経新聞朝刊17面「私見卓見」欄「ヤミ残業は不正の温床になる。」
「職場のハラスメントの定義は法的に様々な議論があるが、その本質は「社員相互の信頼・尊重をむしばむ行動」と見るべきだろう。」
社員相互の信頼と尊重を大切にして、職場で十分に話し合いながら、理解と納得を得てルールを作っていくしかないのでは?


【参考資料】
1.厚生労働省通達等
 平成27年1月23日付通達「雇児発0123第1号」 事業主指針(告示614号)も参照。
 妊娠・出産・育児休業等を契機とする不利益取扱いに係るQ&A
2.東京労働局 
妊娠・産休・育休特設コーナー(東京労働局ホームページトップ画面の右下に特設)
(東京労働局お勧めサイト:使用者・労働者それぞれの目線で使い勝手が良い。)
職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!


銅鑼猫


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