兄貴の凱旋
2009年のことです。
N兄の容態の急変を知ったのは、6月19日金曜日でした。
20日土曜日、急き立てられるように病院に伺いました。
荒い呼吸で苦しそうに見えましたが、看護師さんによると、
「本人はそんなに苦しんではいません。
耳は最後まで聞こえます。大きめの声でどんどん話しかけてあげてください。」
手足末端に血液がだんだん行き廻らなくなり、大きな呼吸で何とか血液を末端に押し出そうとしている。それに集中しているので、もう、痛みも感じなくなっている、ということでした。
個室で、とてもきれいな部屋です。陽光が部屋の中を照らしていました。
次々とお見舞いの方が引きも切りません。
その夕方、N兄は天に召されました。
数年前に、N兄の学校の後輩がこんなことを書かれていました。
「Nさんが先輩と初めて知りました。兄貴の世界征服まであと〇年!」
いま、兄貴は、天に凱旋されました。
「まことに御怒りは束の間、いのちは恩寵のうちにある。
夕暮れには涙が宿っても、朝明けには喜びの叫びがある。」
(旧約聖書 詩篇第30編5節6節:新改訳2017版)
【注】2009年6月東京カベナント教会ブログ重荷をおろしてに掲載した記事です。
ちょうど6月、思い出して投稿しました。
N兄は知的障害者でしたが、絵がとてもお上手でした。東京都障害者総合美術展に入賞して来賓の高円宮妃殿下とのツーショット写真を大切にしておられました。
その養護学校の後輩が上記の言葉をかけられたのです。
虎猫