祈りの力
平成4年(1992年)12月のことです。
種痘などの予防接種の副作用で死亡したり重い障害を負った被害者や家族が国を相手に損害賠償などの訴訟を起こし、勝訴判決を得ました。
しかし、失われた健康が回復することはありません。
被害にあった子供さんが、「注射・・」と恨めしそうに親御さんに語る、そんなことが新聞に載っていました。
なんと痛ましいことだ、と思い、次の瞬間、ほとんど恐怖に駆られました。
私の息子は、心にも体にもハンディを負っています。
「息子が、親を恨み、世を恨み、神様を恨むようなことがあったらどうしよう。
神様、どうか、私に息子をちゃんと育てる知恵と力をお与えください。」
叫ぶように祈りました。
祈りながら、「そうだ。祈りというのは、神様との対話だ。神様の声を聞かないといけない。」
必死に心を静めて、御声を聞こうとしました。
心の中に声が響いてきました。
「仕方のない奴だな。」その声は、笑いながら語られました。
「お前には祈ることを教えてやったではないか。
祈ること、それこそ、私がお前に与えた知恵であり、力なのだよ。」
成人した息子は、毎日元気に仕事に励んでいます。勤め続けて10年、職場でも頼りにされています。
一家の中で一番早く職場に向かうことを誇りにしています。
望みを抱いて喜び、患難に耐え、絶えず祈りなさい。
(新約聖書ローマ人への手紙12章12節)
虎猫