今こそ新型コロナに立ち向かう(17)現場の負担を減らすためには、銀行員の知恵を借りよう
(砧公園)
突飛なタイトルです。
要するに、医療機関、保健所などの現場の負担を減らすためには、事務の専門家の知恵を借りて欲しい、という願いです。
国の感染者データ集約システムHER-SYS (ハーシス)は、昨年5月から稼働し、医療機関現場で入力し、その情報がリアルタイムで集約できるはずでした。
医療現場であまりの入力の煩雑さから使いこなせず、そのままになっているようです。
次の NHK マガジンは、12月のものです。
「システムへの入力が進まず、入力したデータも活用されていない。
現場負担を考えれば、こんなシステムへの入力はやめるべきだ。」
そんな声が上がっています。
参考に、これが現場医療機関向けの操作マニュアルです。
銀行で長く事務をやっている人間でも、見ただけで、これでは使えない、さじを投げたくなります。
新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)
ユーザー操作マニュアル(外来医療機関(診療・検査医療機関等)向け)
医療現場では、当初から問題が指摘されていました。
システム設計の基本は現場ニーズの把握に始まります。
現場事務の見直しと標準化を図り、そこからシステムを作るのです。
医療機関現場で入力をする前提なら、医療機関の現場の状況をよく見ることから始めなければなりません。
全国的な数字の集約というのであれば、入力項目は徹底的に減らすしかありません。
将来に向けてシステムの拡張性を持たせておきたいなら、システム上は項目を設けていても、とりあえずその一部だけを使う、といった様々な知恵を働かせる必要があります。
想像するに、厚生労働省の方だけを向いてあの項目この項目と入れ込んだため、現場で使えないシステムになったのでしょう。
システム設計者は、現場に足を運んだのでしょうか。
そもそも厚生労働省は、現場がどのような状況であるのかを把握する努力をしているのでしょうか。
医療現場は、患者の命を守る最前線です。
最前線の勇士に対して、大本営が細々した戦闘詳報を「リアルタイムで送れ!」と馬鹿げた命令を出しているのです。
せめて、最前線の勇士の邪魔はしないように、それが大本営の最低限の義務でしょう。
なお、これに関連した問題です。
医療現場から保健所への連絡がファックスのやりとりになっています。
1.誤送信の情報漏洩を防ぐため、医師の側では患者の個人情報が黒塗りされ、
2.受け取った保険所で医療機関に電話をかけて個人情報を確認する、
3.その上でパソコンに打ち込む。
4.そのやりとりで20分~30分が費やされる。
こんな馬鹿馬鹿しい作業が行われていたのです。
私は見るに見かねて、東京都福祉保健局「都民の声窓口案内」というところに提案をお送りしました。
こちらも参考までに掲載いたします。
銀行員の目線でいえば、現場の事務軽減について専門的に担当する部署なり担当者がいないのか、不思議でなりません。
まともな会社組織なら、必ずそのような事務担当の専門家が配置されているはずです。
保健所というのは、そのような重要な機能を欠いているのではないでしょうか。
銅鑼猫