toranekodoranekoのブログ

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ブラームス「夏のサンタおじさん」

ブラームスはどんな人でしょうか。
音楽室にかかっていたのはいかめしい顔つきの怖そうな人でした。
「これぞ大作曲家!」と惚れ込んでいる君も、「ブラームスは暗いから嫌!」というあなたも、ちょっと私の話を聞いてください。


交響曲第1番
(2005年6月池袋東京芸術劇場「宇宿允人の世界」フロイデフィルハーモニーの演奏より)
ブラームスは大作曲家ではありません。普通のおじさんです。
苦労して迷って、散々時間をかけて40歳も超えてようやく出来上がったのがこの第1番の交響曲です。天才が神の声を聞いて巧まずに五線譜に落としたものではないし、大天才が膨大に広がるイメージをそぎ落とし考え抜いて練り上げた曲でもなく、20年間のあれもこれもがごちゃ混ぜに入り込んでいます。それだから、日常の世界にあふれています。


この曲に持っていた先入観を改めなければならないと思います。
こんなにも自然な、誰にも親しめる曲だったのか。曲が進むうちに、思わず微笑みたくなりました。あのティンパニの咆哮も何の意外さもなく心に響きます。チャーミングな木管の一つ一つがかけがえのないプレゼントです。表情の豊かな弦が、あの日あの時を思い起こさせます。
ともすると曲の冒頭の仰々しさ、繰り返される四角張ったリズムなどからこの曲に先入観を持ってしまいますが、これも日常の一こまであり、人生の全てではないのです。
肩肘を張ってこの曲を考えるのはやめましょう。自分と同じような等身大のおじさんの話をそのまま聞いてみましょう。傍らにはビールのジョッキ、すてきな娘さんの姿も見えます。そして、おじさんがあこがれた教会の響きが最終楽章に現れ、喜び感動して、おじさんと肩を組んで、少し千鳥足で、家路につくのです。


ブラームスが晩年愛したスイスの避暑地トゥーン。
ポケットに一杯お菓子を入れて散歩に出ては、途中で出会う子供たちに分けました。子供たちは「夏のサンタおじさん」とすぐ仲良しになり、いっしょに散歩してくれました。
その地に住み、ブラームスと親しくなった詩人ヴィトマンの言葉が、記念碑に残されています。
「あなたはこの土地でよろこびをうたい、人びとはその歌で安らぎを得た。」


【参考文献】
ひのまどか「ブラームスー『人はみな草のごとく』」(リブリオ出版「作曲家の物語シリーズ」)
トゥーンのエピソードはこの本に掲載されています。


人はみな草のようで、その栄えは、みな草の花のようだ。
草はしおれ、花は散る。
しかし、主のことばは、とこしえに変わることはない。

新約聖書「ペテロの手紙第1」第1章24節


【注】東京カベナント教会ブログ「重荷をおろして」に2011年7月に投稿したものです。「夏のサンタおじさん」にふさわしい時期に再投稿しました。


虎猫

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