toranekodoranekoのブログ

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新型コロナウイルスを乗り切る日本の知恵

新型コロナウイルスにつき、我国で不思議なほどに感染者数も死者数も抑えられているのはなぜでしょうか。


政治の指導者が優れていたからでしょうか。
同調圧力で国民が唯々諾々と政府の指導に従ったからでしょうか。
おそらく違います。




朝日新聞掲載の興味深い論考から二つご紹介します。いずれも抜粋です。


①5月30日朝刊
(声)感染減少、政権の「成果」ではない


 あまりの無為無策にあきれた国民は、このままではまずいと自覚して、自発的に外出を自粛し、手洗い、マスクを徹底したのではないか。感染減少は、政権が自らの手柄のように言う「日本モデル」のおかげなどではなく、長期の休業や自粛に耐えてきた国民の努力の結果である。



②5月31日朝刊文化芸能面
(新型コロナ)江戸の知恵「内済」で折り合いを 寄稿、平川新・東北大学名誉教授(下線は筆者銅鑼猫)


はたして日本人は個人主義や権利意識が未熟だから「同調」するのだろうか。


江戸時代は訴訟社会といわれるほど訴訟が多かったが、法で白黒をつけるのではなく、仲介者が入って話し合いで折り合いをつける「内済制度」が定着していた。
訴訟を受理した役所は審理の前に当事者同士の内済=示談を勧めた。破談になると役所は仲介者を代えて、何度も示談を促した。相手の利害や仲介者の立場も考えながら、互いのメンツが立つように落としどころを探る。それでも合意が成立しない場合は、奉行所等による判決が下された。


内済は、できるだけ官に頼らぬ自力解決の方法でもあった。
紛争を激化させず社会的分裂を避ける、危機管理のための合理的な紛争解決システムとして機能していたのだ。


西洋で個人を律したり裁いたりするのは、神の意思や法といった超越的な規範である。だからこそ、キリスト教が倫理基準となり、法や裁判制度が古くから整備されてきた。日本人も自己のメンツ(個人の尊厳)を守ろうとする意識は強い。ただし、西洋のような法ではなく、他者との関係が自己を律する規範となってきた。内済が成り立つには、互いの言い分に耳を傾け、自分を絶対正義としない姿勢が必要だ。それには世間の目(他者の評価)を気にすることが役に立つ。


内済での解決は、相手との関係を調整しつつ、新たな世間の常識をつくることでもある。主体性がないとか権利意識が未熟だということではない。制定法のように硬直的ではないから、状況や時代の変化に対応して見直すこともできた。社会一般を規制する法典の整備が遅かったのは、このような別の社会的ルールが存在したからだ



以下は私見です。


①私が感ずるのはこの国の本当の強さです。
罰則がなくても国民が従うというのは、「同調圧力」といったゲスの勘ぐりとは全く異なるものです。
天変地異があれば指導者が万全の指導なり指示を出せるはずもありません。
一人一人の国民がそのことをよく知って、自分自身でやるべきことを考えて行動する。
この国はそのような賢明な人々によって支えられているのでしょう。


旧日本軍について、米国の軍人が「兵士は勇敢、将校は普通、将軍は無能」と評したそうです。
今この国で見られるのはそのようなことかもしれません。


もう一言言うならこの国の教育制度や社会体制は、勇敢な兵士を作り育てることに成功を収めたのです。
しかし、優秀な管理者・マネージャーを育てる仕組みは十分に整っていません。
さらに、優れた指導者を育てる仕組みにいたっては、ないに等しいのです。


②今ひとつこの国の強さ。衛生観念が浸透している事です。
うがい、マスク、手洗い。
欧米ではおよそ浸透していなかったこれらの習慣を、我国では、幼い子供たちから大人まで忠実に守り抜いてきました。
うがいは役に立たない、マスクをするのは日本人ぐらいだ、と、わけ知り顔に嘲笑、冷笑する人は沢山いましたが、そんな考え方はこの国では殆んど取り入れられずに、どこかに消えていってしまいました。


今になって、欧米でマスクを必須とするなどと大騒ぎになっているのです。
おそらく、うがいというのも、優れた習慣と徐々に世界中でわかってもらえる時が来るでしょう。


③皮肉を一つ。
新型コロナウイルス感染症が世界に広がるかもしれない、と、日本も韓国も台湾も身構えて必死で対応している時に、欧米では、キスやハグなどの不衛生な習慣がいつまでも続いていたのです。
厳しい言い方をします。
習慣の違いというよりは、むしろ衛生観念についての欧米の非常識さ、民度の低さとでも言うべき問題です。


新型コロナウイルスの問題は、この国の特徴、世界に誇るべき強さを明らかに示しています。
もちろん、威張ったりする事ではありません。
ただ、我国の良き習慣、優れた生き方を大切にして、世界に広げていくときではないかと思います。
我国の世界への大きな貢献となるでしょう。


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銅鑼猫

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