フェイクニュースはなぜ拡散するのか(4月5日改定)
この記事は、本日の日経新聞朝刊第一面トップに掲載されています。
あのトイレットペーパー品薄のフェイクニュースに対して、それは嘘だよ。国産だから大丈夫だよという善意のデマ退治の情報が沢山登場しましたが、これが逆にパニックを生んでしまったのです。
なぜでしょうか。
「フェイクニュースを科学する」という本があります。(笹原和俊著)
(240313リンク修正)
- フェイクニュースを科学する: 拡散するデマ、陰謀論、プロパガンダのしくみ (DOJIN文庫)
- 化学同人
- Digital Ebook Purchas
【本書76~77ページより抜粋して引用】(下線は筆者)
人は「見たいように見る」という認知バイアスを持っています。
これが偽ニュースの拡散を生み出す要因になっていると同時に、偽ニュースを訂正する事実の流布を妨げる要因にもなっています。
なぜなら、人は先入観をもって情報を処理し、自分の世界観と一致するものだけを受け入れるからです。
人々に拡散されやすい偽ニュースは、次のような性質を一つ以上持っていると考えられます。
①受け手の意見や価値感、思い込みや偏見に合致するニュース
②向けての(道徳)感情を刺激するニュース
③みんなが評価しているニュース
これらの性質は、ニュースの真偽とは関係がありません。
また、「偽ニュースだよ。」と指摘しても、全く効果がないどころか逆効果になる事さえあります。
もう一度この記事を見てみましょう。
て
あの「トイレットペーパーが中国産・品切れになる。」というツイートについて、次のような現象が起こりました。(下線は筆者)
「大半が国産だよ」「落ち着いて」。善意の"デマ退治"投稿が次々と広がり、ツイッターの話題上位に入る。
それに呼応し、紙製品の品薄を知らせる注意喚起の書き込みも急増した。
「入荷しますと言っても聞いてくれず」「うちの近くはまだあった」
デマ否定のリツイートは累計32万件に及んだ。一般に数千件の転載が流行入りの目安とされるが、その数十倍だ。ニュースサイトなどにも広がり、全国規模の騒動に発展していく。偽情報を打ち消す各個人の投稿が逆に品不足を連想させたのだ。
噂や否定も含めて情報の氾濫が人々を不安にさせた」
前述の「フェイクニュースを科学する」には、フェイクニュースへの処方箋も示されています。
私にはなかなかそこまで紹介できる力がありません。
ぜひ、多くの方にお読みいただき、参考にしていただきたいと願っています。
銅鑼猫