「失敗」を直視せよ 元政府事故調委員長・東京大学名誉教授、畑村洋太郎さん
(インタビュー)「失敗」を直視せよ 元政府事故調委員長・東京大学名誉教授、畑村洋太郎さん
このインタビュー記事が朝日新聞電子版10月18日号に掲載されています。
大変気になった点を少し掲載します。
「あの事故を責任問題または刑法の方向からだけ見て、それでよしとする社会は、『幼稚』という感じがします。事故から何を学ぶか。再発防止も大事ですが、それ以前に現象がどう進んでいったか、被害がひどくならないように収める方法はなかったか、そういうことを事故が起こる前に考えておかなければいけなかった。」
「福島第一原発の事故では1号機の非常用復水器が作動しなかったことが悲劇を招きました。スペインの原発関係者によれば『復水器を動かすと、雷のようなすごい音がするからすぐにわかる。運転中にテストした経験があるから、スペインではみな知っている』という。一方の日本は運転中のテストはしておらず、多くは復水器の仕組みを知識として知っていただけなので、事故時に作動していないことに気づかなかった」
「事故や災害は起こるものとして、被害を抑えるための方策を考え、実施する。人の一生という短期間の経験だけに頼って起きっこないと油断していると、大変なことになります。こんなことが起きたら大変だという危惧感に基づいて事前に対策をとるのが、費用対効果からみて一番いい。何もしないで発生する損害額の千分の1のコストをかければ、大地震が起きても致命的な被害は回避できるでしょう」
これを読みながら銅鑼猫なりに考えました。
非常用電源を一つだけ階上にあげておけば、非常用復水器のテストをしておけば・・
あるいは、外部電源*のチェックをしておけば・・
こんな簡単なことで、大事故は防げたのです。
【*福島第一の外部電源について】
所内の非常用発電施設のほかに、外部電源も6回線用意されていた。ところが、地震のために電線の陶器製碍子の破損や鉄塔の倒壊などが生じて外部電源が全く使えなくなった。実は、このような事故は十分予想されていたが、電力会社側は「たとえ外部電源がつぶれても原発内の非常用発電施設があるから大丈夫」という心理に陥っていた。(銅鑼猫注:内部電源のことはよく報じられていましたが、外部にもちゃんと電源があったのですね。ここまで備えていて、いざというときに役に立たなかったのです。「過剰品質」等とたかをくくっていたのでしょうか。)
玉上ブログを参照ください。
銅鑼猫