toranekodoranekoのブログ

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ふつうの人エリヤ(旧約聖書 列王記 第一 第17章)【2022年1月22日追記:メンデルスゾーン「エリヤ」全曲演奏YouTubeのご紹介】

 エリヤは王宮から懸命に走って逃れました。
アハブ王が偶像礼拝の罪を犯したのを厳しくとがめ「自分の言葉によらなければこの地には露も雨も降らない。」と宣言してきたのです。すぐに王宮の兵士たちが追ってくるでしょう。


走り疲れ、息も絶え絶えに座り込んでしまったエリヤに、神の言葉が臨みました。
「エリヤよ、エリヤよ」
「はい、神様、ここにおります。」
「ケリテ川のほとりに身を隠せ。川の水を飲め。カラスがお前を養う。」
エリヤは御声のままにケリテ川に身を隠しました。
翌朝、目が覚めると、カラスが飛んできました。一羽はパンを口にくわえ、もう一羽は肉をくわえていました。
「神様、感謝します。本当にカラスが私を養ってくれるのですね。」
朝に夕に、こうしてカラスがパンと肉を運んできてくれました。


  そして幾日もたちました。今日もカラスがパンと肉を運んできてくれました。
でも川の水は涸れてしまいそうです。エリヤは祈り、耐え忍び、神の御声を忠実に待ち続けました。
とうとう川の水が涸れたまさにその時、神の声がありました。
「エリヤよ、エリヤよ。」
「はい、神様、ここにおります。」
「お前はシドンの町ツアレファテに行け。お前を養うやもめがいる。」
エリヤはびっくりしました。
シドンと言えばアハブ王の妃イゼベルの出身地です。偶像崇拝の本拠地です。アハブ王は、このイゼベルを妃にしてから、妃の言うままに偶像崇拝に走ったのです。その偶像崇拝の地の真っただ中に行け、という命令です。
でも、神様のお言葉通り、確かにカラスがエリヤを養ってくれました。
忠実にご命令に従おう、エリヤは決めました。


 ようやくシドンの町ツアレファテの門にたどり着きました。
ちょうど薪(たきぎ)を拾っている女の人がいました。
「おかみさん、すみません。水を一杯とパンを少しいただけませんか。」
「旅のお方ですか。差し上げたいのはやまやまですが、いま我が家にあるのは一握りの粉と油が少しだけです。
今拾ってきた薪でパンを焼いて、私と息子で最後の食事をして、それから死のう、と考えていたところなのです。」
「おそれることはありません。まず私に小さなパン菓子を作って持ってきてください。それからあなた方のためにパンを作りなさい。
神様はおっしゃっています。『この日照りの終わるときまで、かめの粉は尽きず、壺の油は尽きない。』」


 不思議なことをいう人だと思いながら、女の人は言われるままに、まずパン菓子を作ってエリヤに持っていきました。帰ってくると粉も油も減っていないように思えました。それでもちょうど二人分くらいです。これが最後の食事と覚悟してパンを焼きました。
ところが、パンを食べてから、かめと壺を見ると、粉も油もそのまま残っているではありませんか。
「あの方は本当に神の人に違いない。」女の人は町の門まで走ってエリヤを家に迎えました。毎日毎日、エリヤの分も含めて3人分のパンを焼きましたが、粉も油も尽きることはなかったのです。


 ところが、女の人の息子が急に重い病にたおれ、そのまま亡くなってしまいました。
「エリヤ様、神の人。あなたは私の罪を知らせるために息子の命を奪われたのですか。
そのために来られたのですか。」女の人はそう言って慟哭しました。
エリヤは女の人から息子の遺骸を受け取り、自分の床に横たえ、そして祈りました。
「私の神、主よ、どうして私を養ってくださったこの人の息子を死なせたのですか。」
さらに祈りは続きます。
「私の神、主よ。どうかこの子の命をこの子のうちに返してください。」
エリヤは、二度、三度と祈り続けました。
神は祈りを聞かれ、息子は生き返りました。
女性はひざまずき、エリヤに言いました。
「あなたは神の人です。あなたは神の言葉、真実の言葉を語る方です。」


 エリヤの物語はさらに続きます。
ただ一人でバアルの預言者450人と対決して打ち勝ちますが、イゼベルの追及を恐れて山に逃げます。そこで神の声を聞き、神により頼む者の強さを学び、自分の使命を果たすべく再び立ち上がります。


エリヤは、その家系も両親の名すらも伝えられていません。ごく普通の人でした。
それでも神に用いられ、偉大な預言者となったのです。


メンデルスゾーンのオラトリオ「エリヤ」は、この預言者の生涯を描いた名曲です。機会があればぜひ聴いてみてください。


【注】
2012年9月聖書同盟 小山田 格総主事(当時)のメッセージに基づいて、東京カベナント教会ブログ「重荷をおろして」に投稿していた記事です。
小山田先生はその後、東京カベナント教会の牧師を勤められ、今は練馬の地で開拓伝道に就いておられます。



2022年1月30日追記
メンデルスゾーンのオラトリオ「エリヤ」全曲をYouTubeで視聴できます。

でご確認ください。


全曲を試聴する
Mendelssohn:Elias - マーカス・クリード指揮オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団他による演奏。AVROTROS Klassiek公式YouTube。
Mendelssohn:'Elias' - ダニエレ・ガッティ指揮フランス国立管弦楽団他による演奏。France Musique公式YouTube。



Mendelssohn: Elias - Radio Filharmonisch Orkest en Groot Omroepkoor - Live concert HD



Mendelssohn : "Elias" sous la direction de Daniele Gatti



ユダヤ人の家系であったメンデルスゾーン家は謂れなき迫害を受けることが多く、それはキリスト教への改宗後もほとんど変わらなかった。そのような状況にも関わらずフェリックスの業績・影響力は強く、終生ドイツ音楽界の重鎮として君臨した。死後は再び反ユダヤ主義のあおりを受けて彼の音楽への貢献は過小評価されてきたが、今日では再評価の機運も高まりを見せている。


虎猫

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