誇りをかけた戦い
あの日。
東京から高井戸まで4時間半歩いて帰宅しました。結構歩けるものだと思いました。
八重洲口から皇居を回り、新宿通りから甲州街道へと歩きました。
たくさんの人が秩序正しく、ピクニックにでも行くように、楽しげに歩いていました。
甲州街道の途中、ある会社のビルの前でおじさんたちが楽しげに呼び込みをしていました。
「トイレどうぞお使いください。お疲れの方、遠慮なく、中でお休みください。」
日曜日の夜から月曜日にかけて。
原発の事故。計画停電。
乾電池が売り切れている、もう手に入らない。
家の中を探したら、20本ありました。
店をあさるより、自宅を片付けるほうがよさそうです。
近くのスーパーは大変な行列。買いだめする人でいっぱいでした。
水は販売制限、納豆、バナナ売り切れ、弁当、おにぎり、パンも肉も同様。
そして、19日土曜日
スーパーは落ち着きを取り戻していました。
もやし、パン、牛乳はお一人一個、コメはご家族で一袋。という販売制限。
それでも、棚には、弁当も肉も潤沢です。バナナも山盛りでした。
レジの列は短く、並ぶ人のかごの中も、半分くらいしか入っていません。
「買いだめはやめましょう。」政府、マスコミ、識者の呼びかけがありました。
人々は素直に従っています。買いだめしないことが自分のため、この国のためになることを心から理解しています。
私は4時間半歩いて家に帰ることができました。
いまだに家に帰れない人がいます。
ついに帰れなかった人もいます。
心が落ち込むとき、希望をなくしそうになるとき、
そのときには、あの日々を、私たちがどのようにふるまったかを思い出しましょう。
この国の各地で、今を生きている人々のことを思いましょう。
そして、今日一日を落ち着いて明るく過ごしましょう。
それが私たちの誇りをかけた戦いの第1歩と思います。
「だから、明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。
その日の苦労は、その日だけで十分である。」
(マタイによる福音書第6章34節:新共同訳)
【注】2011年9月東京カベナント教会ブログ「重荷をおろして」に投稿したものです。
8月は終戦の月。でも私たちの戦いはまだまだ続きます。今一度、あの時のことを思い出してみましょう。
虎猫