toranekodoranekoのブログ

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「産業廃棄物処理業界における『働き方改革』」講演ご報告

表記の講演を無事終了しました。
当日の模様をご報告します。


1.主催:全国産業資源循環連合会(産業廃棄物処理業の全国組織)
  第9回定時総会における講演
2.日時:6月13日(木)16時半から17時半
3.場所:明治記念館
4.参加者:約500名(都道府県会の会長・役員、全国の産業廃棄物処理業経営者等)


【主な内容】
玉上作成のレジュメのほか、神奈川県庁から提供頂いた「中小企業こそ働き方改革を!」のパンフレットもお配りするので活用してください。


1.問題意識(業界の現状)
産業廃棄物処理業界は、許可事業者数約11万社、主業としている業者数でも1万2000社を数え、その多くが中小企業。競争の激化、人材確保の困難さ、という課題を抱えている。
働き方改革による労働時間削減、有休の確実な取得等と言われても人手不足を加速するだけではないか、という問題意識がある。
環境省では「現場で働く従業員が未来に希望とプライドを持って働けるための環境整備を急ぐべき」と提言しているが、働き方改革はその役に立つのだろうか?


2.働き方改革ひとまずこれだけ
(1)なぜ今働き方改革が必要か
今やらなければこの国が立ち行かなくなる。
①日本は子供を産み、育てることも困難な社会になっているのではないか。
 少子高齢化で働き手の不足する中、共働きが当たり前。ところが、長時間労働が蔓延、有休取得も進まず、出産育児も困難。2018年の出生数は92万人弱。過去最少。
近時は介護離職も年10万人と高水準。
②長時間労働は健康を害し、命の危険をもたらす(過労死・過労自殺)。
③国際的に見て、労働時間の長い国ほど、単位労働時間当たりの生産性が低い。
 我国は、ひょっとしたら、無駄に長時間労働をしてきたのではないか。
④働く人の4割近くが非正規(パート、アルバイト、派遣)。
 家庭の主婦が家計の助けにパートに出ているのではなく、非正規でしか働けない人々が増加している。年収2百万円以下の人が働く人の4分の1を占める。
結婚することも子育てもできない。子供に十分な教育を授けることもできない。貧富の格差の再生産が行われている。
そのような現状を何とかしなければならない。
国として大きな危機感を持ち、思い切った改革を主導しようとしている。


(2)働き方改革のポイント
ひとまず四つのポイント。①②は中小企業でもこの4月から義務付けられている。
①年次有給休暇の確実付与義務。
 使用者は、有休10日以上持つ人に必ず5日以上有休をとらせなければならない。
②労働時間の状況の把握義務。健康確保のためだ。管理監督者もすべて対象。
③時間外労働の罰則つき上限規制(大企業は4月から、中小企業は来年4月から)
「国家として死ぬような働き方は許さない。もはや労使の自治に任せてはおけない。」という意味である。
現在の基準は労災の過労死などの認定基準というぎりぎりの水準。今後さらに厳しくなることは必至。
その場しのぎのヤミ残業は刑事罰逃れの違法行為。時間外労働の状況という経営の重要情報をごまかし、嘘と偽りを社内に蔓延させる。不正の温床になりかねない。
④雇用形態に関わらない公正な待遇確保(同一労働同一賃金:中小企業2021年4月施行)
 正規・非正規の賃金格差を是正するもの。賃金や福利厚生の項目を一つひとつ確認して、不合理な格差を解消していかなければならない。


3.「働き方改革」ヒントはここにある!
 働き方改革は国全体で直ちに取り組むべき重要課題。厚生労働省や各官庁などで取組み事例・支援策などが多数示されている。中小企業や各業界の取り組みも進んでいる。
今日は、私の目で見て厚労省サイトを中心に使いやすそうなものをご紹介します。
レジュメには各資料へのリンクを張っており、後日電子ファイルでも皆様に提供するので、活用をお願いします。
(ブログでは当日説明の中の一部をご紹介します。別途、詳しい内容をご案内します。)


(1)仕事と生活の調和の実現に向けた取組事例(中小企業でも創意工夫で取り組み!)
 ①所定外労働時間の削減
 ○水曜日「ノー残業デー」:終業時刻30分後強制施錠<建設業/24人>
 ○業務計画等見直し、時間外労働の必要性有無確認、事前の時間外労働申請徹底。<建設業/74人>
 ○毎月、荷主からの発注条件を調整しながら、月初めに「ノー残業ウィーク」を設定、所定外労働時間の削減に努めた。<運輸業/4人>


 ②年次有給休暇の取得促進
 ○年休管理簿で、各自の年休取得日数を把握し取得促進、事業開始時から2年間で労働者1人平均取得日数が13日増加<製造業/6人>
 ○毎月、給与明細書手渡し時に、翌月以降の年休取得希望日を聴取、早めに年次有給休暇の取得日を設定<サービス業(馬房清掃)/11人>


 ③中小企業事業主団体による取組
 ○団体会員の取引先や顧客向けに、年休取得促進に取り組んでいることを周知するポスターを作成。 ポスターの内容、デザイン、規格など効果的になるよう会員からヒアリングして協同で行った。取組に向け団体としての気運が作成段階から醸成。その後、スムーズに取組が進行した。<業種別(製造業)事業主団体>


(2)「働き方改革推進支援センター」
 4つの取組をワンストップで支援
 (1.長時間労働の是正、2.同一労働同一賃金等非正規雇用労働者の待遇改善、
  3.生産性向上による賃金引上げ、4.人手不足の解消に向けた雇用管理改善)
 サポート事例はこちら!


(3)厚生労働省・中小企業庁連名の業界団体への要請(中小企業への押し付け防止)
「働き方改革関連法の施行に向けた取引上の配慮について」
平成31年2月通達。
大企業に時間外労働の上限規制適用により、中小企業等に無理な発注を行う懸念あり。
繁忙期や短納期発注の発生要因の課題が考えられる業界団体に対して、厚生労働省・中小企業庁が、業所管省庁との連名文書により、計1,066団体に対して要請を実施。


(4)業界団体の取組み例「全日本トラック協会の取組」
 「トラック運送業界の働き方改革実現に向けたアクションプラン概要版」
  次のように結ばれています。
 「業界の取組みだけでは限界がある。国、自治体、荷主、物流関係者等のご協力をお願いしたい。」
                                     以上


銅鑼猫(玉上)

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