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内部通報制度は本当に役に立つのか?

 


  不正・不祥事が起こる都度、内部通報制度の活性化が議論される。
4月には消費者庁で内部通報制度に関する認証制度の実施等も決定され、12月26日には内閣府公益通報者保護専門調査会が法改正についての報告書を公表された(末尾参考資料)。


 しかし、内部通報で不正・不祥事が発覚することは少ない。通報時には、すでに大事に至り手遅れになっているのが通例だ。
通報をためらう人の気持ちを察するべきだ。内部通報は基本的に使い勝手が悪いのだ。自分の通報で上司や同僚を裏切るのではという躊躇、的確に事実を把握できているかという不安、何よりも会社から仕返しされないか、というおそれだ。「通報者に不利益な処分はしない」といっても、人事異動でとんでもない部署に配転されないか、という懸念がつきまとう。会社は「通常の異動の範囲」というだけだろう。転職がままならない我国では、一生飼い殺しにされかねない。
  内部通報制度は、勇気ある人が、自己犠牲をいとわず的確な調査の上で経営層に通報する、という現実離れの想定の上に立っているのだ。それなら、監督官庁、マスコミ、さらにSNSなどで社外への告発に動くのが、むしろ自然ではないか。
 内部通報の本来の目的を考えるべきだ。現場で気がかりなこと、疑問なことを中間管理職に妨げられずに経営層に伝える、ということだろう。
 方法はいくらでもある。私が銀行でコンプライアンス研修の担当をしていたときに、毎年の研修アンケートで「研修内容は理解できましたが」等の一般的な質問の後に「その他コンプライアンスでお気づきの点、疑問の点があれば自由にお書きください。」という記入欄を設けてみた。思いがけない情報も入手できた。全社員向け必須研修で、アンケートもその一環として回答を求められるので、心理的抵抗なく気軽に記入できるのだ。
 もちろん、ピンポイントで的確な情報が入手できるわけではない。しかし、広範な社員から情報を得れば、更なる調査の手掛かりになる。不確かな情報と見えても、いわゆる「ヒヤリハット情報」もありうる。単なる噂話と思えても意外な真実が隠れていることもある。これらを通して組織運営上の問題点への気づきも与えられる。
 また、本部担当者が足しげく現場に通うことで、若い社員が本部に気軽に相談できる風土もあった。ここでも様々な情報を得ることができた。さらに顧客や取引先の声を顧客相談窓口で丁寧に扱うことで、外部目線での気づきがもたらされた。
 内部通報制度は最後の命綱として必須だろう。しかし、それ以外に様々なチャネルを設け、大事に至る前に異常を検知できる仕組みを構築・運営すべきなのだ。
                                     以上
【参考情報】
1.【内閣府】公益通報者保護専門調査会報告2018年12月16日
 【時事通信】
 「報復」への罰則見送り=内部通報制度見直し-退職者らも保護対象・内閣府調査会
 【内閣府】
  内閣府公益通報者保護専門調査会報告書
  • 消費者委員会 公益通報者保護専門調査会報告書(PDF形式:1255KB) 
  • 消費者委員会 公益通報者保護専門調査会報告書(概要)(PDF形式:242KB)


2.【消費者庁】内部通報制度に関する認証制度(2018年4月・7月)
  内部通報制度に関する認証制度の導入


【注】
 内部通報についてのこの記事は、日本公認不正検査士から発行いただいた次の教材の一部を改めて整理したものです。
不正不祥事の相次ぐ年でした。ぜひ多くの方にこの教材をご覧いただき、活用いただきたいと念願しております。今後も教材のポイントは適宜紹介して参ります。
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