生死の向き合う場所
私の病室は6人部屋で、ナース・ステーションからは少し離れています。
ある朝、病室を出てみると、ナース・ステーションの前でお医者さん・看護師さんが整列しておられました。
ご家族でしょう。女の方が「まだ若いのに」とむせび泣き、男の方が人目はばからずしっかりと抱きしめておられました。そして、ナース・ステーションの前の個室の病室に入っていかれました(特に重い患者さんはナース・ステーション前の個室に入っておられます)。
私が自分の病室に戻り、もう一度出てみると、ご遺体が運ばれていくところでした。ご家族が付き添ってエレベータに向かうのを、私も頭を下げてお見送りしました。
入院して4週間。
こうして自分が直接にお見送りしたのは2回目です。
自分が知らない間にも、幾度かあったようです。
深夜にご家族ご親戚が集まって、談話室で話し込んでおられる、「遅いからあんたたちは帰りなさい。」「いや付き添います。」「お寺はどうする・・」
夕方、若いお嬢さんが携帯電話をされている。「もう延命措置はしないことにしたの。」
私自身の病は、幸いに発見が早かったので、命に別状なく治ると言われていますが、幸運に支えられてのことに相違ありません。
ここは病院です。生死の向き合う場所です。
この記事は、3年半ほど前に、チャーグストラウス症候群という難病で、緊急入院したときに病棟で書いていたものです。病が癒された今、改めてその時の気持ちを思い出すために、このブログに投稿いたしました。
虎猫